平成23年8月の現地審査を経て、9月5日秩父地域が県内初、全国で15番目の日本ジオパークに認定さました。秩父まるごとジオパーク推進協議会の会長(久喜邦康会長=秩父市長)は「秩父のジオパークは『大地の守人(もりびと)を育むジオ学習の聖地(メッカ)』を全体のテーマとして地域の皆さんとともに手を携えて事業を推進しています」とのコメントを発表しました。
日本ジオパークネットワークによるとジオパークとは、「ジオ(地球)に親しみ、ジオを学ぶ旅、ジオツーリズムを楽しむ場所がジオパーク」とのことです。
また経済産業省「日本のジオパーク」によると「地下の岩石から宇宙まで、数十億年の過去から未来まで、 地球を丸ごと考え、地球を楽しむ場所」と定義しています。
ジオパークは、ユネスコの支援により2004年に設立された世界ジオパークネットワーク(Global Geoparks Network : GGN)により、世界各国で推進されている活動です(同「日本のジオパーク」より)。
ジオパークでは地球の成立過程等を表す美しく貴重な地形・地質を保存・整備し、自然公園として、またガイドなどが案内する仕組みがあるエリアとして、2011年2月現在、日本国内では14の地域が日本ジオパーク委員会によって認定されています。
元来秩父エリアは 1878年(明治11年)、地質学者ナウマン博士の調査により「日本地質学発祥の地」といわれ、「長瀞の変成岩」(日本の地質百選)、「小鹿野のようばけ(約 1500万年前の地層)」他、多種多様で貴重な大地の遺産があることがその大
きな理由でしょう。
かの宮沢賢治も盛岡高等農林学校の2年生のとき秩父を訪れ、「虎岩」、「ようばけ」等を実地研修しました。そんな秩父では1市4町(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町)がこのジオパーク認定エリアに該当し、認定に向けて上記1市4町と関連30団体で、秩父まるごとジオパーク推進協議会を構成し、情報発信や企画・展示、ツアー開催等の活動を行ってきたことも認定の大きな原動力となったことは忘れてはならないでしょう。
「世界遺産」は紀伊山地の霊場と参詣道、石見銀山遺跡とその文化的景観等マスコミに大きく取り上げられることも多く有名です。ジオパークは地質学分野における「世界遺産」のようなものといっていいでしょう。それを考えると「へぇ、凄いねぇ」ってことになるのでは?
また秩父まるごとジオパーク推進協議会では「さらに活動を充実させ、学びの場として小中学校の遠足、大学の研究フィールドなどとしても活用してもらえるよう積極的にアピールしたい」とし、秩父の観光資源として活用し、地域活性化という目論見もあります。
詳しくは「日本地質学発祥の地 秩父まるごとジオパーク計画」に掲載されていますが代表的なものとして以下のものがあります。
親鼻の紅簾石片岩(皆野町 親鼻)
天然記念物。美しい紅色となった紅簾石片岩は世界的にも珍しく貴重な存在。
岩畳(長瀞町 長瀞)
長さ500メートル、幅80メートルにわたる大きな自然岩石。一面に畳を敷き詰めたかのよう。
ようばけ(小鹿野町 長留)
新第三紀層(2,303万年前から258万年前までの時代)の地層が露出していて、高さ約100m、幅約400mにわたる大きさです。
橋立鍾乳洞(秩父市 上影森)
埼玉県・天然記念物。県内唯一の縦穴型(洞内の3分の2以上が縦穴)の観光洞。気軽に楽しめ、遠足等で訪れる小学生も多いとか。
今回の記事の掲載に当たり、秩父まるごとジオパーク推進協議会事務局様(秩父市産業観光部観光課)のご理解と協力をいただきました。